この記事は応用情報技術者が監修しています。
- ITパスポート試験の計算や数字が関係する問題の解き方
- 採算性を比較に関する問題の解き方
- 売上高と費用と利益に関する問題の解き方
- 在庫管理と部品発注に関する問題の解き方
- アローダイアグラムの所要日数に関する問題の解き方
- ソフトウェア開発の必要要員に関する問題の解き方
- 機械学習モデルの再現率に関する問題の解き方
- 標準偏差と偏差値に関する問題の解き方
ITパスポート試験の計算問題や数字が出てくる問題ができない、難しい、苦手という人向けに解き方を分かりやすく解説します。
どういう考え方で解くのかに焦点を当てた解説になっているので、覚え方が分からない人でも解けるようになります。
試験前の対策などに活用してください。
分野を問わず令和5年度の過去問を対象にしています。
ITパスポート令和5年度過去問の問4の解き方
採算性を比較に関する問題
問4 ASP利用方式と自社開発の自社センタ一利用方式(以下“自社方式”という)の採算性を比較する。次の条件のとき、 ASP利用方式の期待利益(効果額-費用)が自社方式よりも大きくなるのは、自社方式の初期投資額が何万円を超えたときか。ここで、比較期間は5年とする。
〔条件〕
・両方式とも、システム利用による効果額は500万円/年とする。
・ASP利用方式の場合、初期費用は0円、利用料は300万円/年とする。
・自社方式の場合、初期投資額は定額法で減価償却計算を行い、 5年後の残存簿価は0円とする。また、運用費は100万円/年とする。
・金利やその他の費用は考慮しないものとする。
ア 500 イ 1,000 ウ 1,500 エ 2,000
イ
出典:令和5年度 ITパスポート試験 問4
この問題は、ASP利用方式の5年間の期待利益と自社方式の5年間の期待利益を比較するものです。

ASP利用方式の5年間の期待利益と自社方式の5年間の期待利益を比較しないといけませんが、問題文に「期待利益(効果額-費用)」とあるので式は分かっています。
条件は以下のことが分かっています。
・効果額は両方式とも、年間500万円
・ASP利用方式の費用は、利用料年間300万円
・自社方式の費用は、運用費年間100万円
分かっていないのは、自社方式の費用である初期投資額のみです。
初期投資額のみが分かっていないので、初期投資額を除いた5年間の期待利益を求めて、ASP利用方式の期待利益と比較した差額が答えになります。
「定額法で減価償却計算を行い、 5年後の残存簿価は0円とする」とは、初期投資額1000万円を1年あたり定額200万円を費用にして、5年間で1000万円を全て費用にするという意味です。
特に計算する必要はないです。
ASP利用方式の5年間の期待利益1000万円=(効果額500万円-利用料300万円)×5年
自社方式の5年間の初期投資額を除いた期待利益2000万円=(効果額500万円-運用費100万円)×5年
問題文で「自社方式の初期投資額が何万円を超えたときか」と聞かれているので、初期投資額が1000万円を1円でも超えれば良いので、答えはイです。
ASP方式と自社方式とは
ASP(Application Service Provider)とは、インターネットを介したサービスのことです。
例えば、GmailはASPです。Gmailを例にして、ASP利用方式と自社方式の違いについて説明します。
Gmailは自分のパソコンなどのデバイスにインストールしなくてもGoogle検索から利用できますよね。メールのデータを自分のパソコンなどに保存する必要がなく、この世界のどこかにあるサーバーに保存されています。
サーバーとは、データの保存などをすることができる物理的な機器のことです。パソコンの超高性能バージョンという認識で大丈夫です。
Gmailを利用する場合、自分で何か機器を用意したり、Gmailを改造してメンテナンスしたりする必要はありませんよね。全てGoogleが行ってくれています。
このようにASP方式とは、他社のサービスを利用することを意味しています。
一方、自社方式とはGmailを例にすると、Gmailを使うためにGmailを自社で開発して、サーバーを購入して、Gmailのメンテナンスもする必要があります。
自社方式では全て自社で管理します。
そのため問題文にもあるように、初期投資額というものが発生します。
ITパスポート令和5年度過去問の問13の解き方
売上高と費用と利益に関する問題
ある製品の今月の売上高と費用は表のとおりであった。販売単価を1,000円から800円に変更するとき,赤字にならないためには少なくとも毎月何個を販売する必要があるか。ここで,固定費及び製品1個当たりの変動費は変化しないものとする。

エ
出典:令和5年度 ITパスポート試験 問13
「販売単価を1,000円から800円に変更するとき、赤字にならないため」とるので、まずは変更後の利益が0になる場合を考えます。
製品を1個800円で販売すると、1個当たりの変動費が700円発生するので、1個販売した時の利益は100円です。
固定費は60万円と分かっているので、利益を60万円発生させれば利益を0にすることができます。
100円の利益を何回発生させるかを考えます。
60万円を100円で割ると6000になるので、答えはエです。
ITパスポート令和5年度過去問の問33の解き方
在庫管理と部品発注に関する問題
製品Aを1個生産するのに部品aが2個,部品bが1個必要である。部品aは1回の発注数量150個,調達期間1週間,部品bは1回の発注数量100個,調達期間2週間の購買部品である。製品Aの6週間の生産計画と,部品a,部品bの1週目の手持在庫が表のとおりであるとき,遅くとも何週目に部品を発注する必要があるか。ここで,部品の発注,納品はそれぞれ週の初めに行われるものとし,納品された部品はすぐに生産に利用できるものとする。

イ
出典:令和5年度 ITパスポート試験 問33

手持在庫数量というのは、例えば1週目の部品Aの250というのは、1週目の最終日が終わる時点及び2週目の1日目が始まる時点の在庫を表しています。2週目の部品Aの170というのは、2週目の最終日が終わる時点及び3週目の1日目が始まる時点の在庫を表しています。
部品の所要個数を在庫から引いていくと、5週目で在庫が枯渇することが分かります。
「遅くとも何週目に部品を発注する必要があるか」と問われており。部品bは調達期間が2週間なので、3週目に発注する必要があります。
答えはイです。
ITパスポート令和5年度過去問の問41の解き方
アローダイアグラムの所要日数に関する問題
次のアローダイアグラムに基づき作業を行った結果,作業Dが2日遅延し,作業Fが3日前倒しで完了した。作業全体の所要日数は予定と比べてどれくらい変化したか。

ウ
出典:令和5年度 ITパスポート試験 問41
遅延や前倒しが発生する前の最長の所要日数と、遅延や前倒しが発生した後の最長の所要日数を比較します。

DとCの連結部分は2つの作業が完了しないと次に進めません。
変更前は緑と青のルートが最長で11日を要していました。変更後緑と青のルートは8日に短縮できましたが、赤のルートに変更はなく最長のルートとして9日を要します。
11日から9日を引くと2日になるため、答えはウになります。
ITパスポート令和5年度過去問の問55の解き方
ソフトウェア開発の必要要員に関する問題
ソフトウェア開発の仕事に対し,10名が15日間で完了する計画を立てた。しかし,仕事開始日から5日間は,8名しか要員を確保できないことが分かった。計画どおり15日間で仕事を完了させるためには,6日目以降は何名の要員が必要か。ここで,各要員の生産性は同じものとする。
ア 10 イ 11 ウ 12 エ 14
イ
出典:令和5年度 ITパスポート試験 問55
「10名が15日間で完了する計画を立てた」、「生産性は同じ」とあるので15日 × 10人の150が仕事の総量になります。1日当たりの1人の仕事量は1であることが分かります。
仕事開始日から5日間は8名しか確保できないので、5日 × 2人の10の仕事量を残り10日間で補う必要があります。
1日当たりの1人の仕事量は1だったので、1人追加すれば10の仕事量を残り10日間で補うことができます。
答えはイです。
ITパスポート令和5年度過去問の問76の解き方
機械学習モデルの再現率に関する問題の解き方
品質管理担当者が行っている検査を自動化することを考えた。10,000枚の製品画像と,それに対する品質管理担当者による不良品かどうかの判定結果を学習データとして与えることによって,製品が不良品かどうかを判定する機械学習モデルを構築した。100枚の製品画像に対してテストを行った結果は表のとおりである。品質管理担当者が不良品と判定した製品画像数に占める,機械学習モデルの判定が不良品と判定した製品画像数の割合を再現率としたとき,このテストにおける再現率は幾らか。

ウ
出典:令和5年度 ITパスポート試験 問76

品質管理担当者が不良品と判定しているのは全部で10件、そのうち機械学習モデル(AI)が不良品と判定しているのは5件で、良品と判断しているのは5件です。
AIは品質管理担当者が不良品と判定した10件中5件を不良品と判定しているので50%の確率で再現しています。
つまり答えはウです。
もう少し解説を追加します。
問題文の「品質管理担当者が不良品と判定した製品画像数に占める,機械学習モデルの判定が不良品と判定した製品画像数の割合」とは以下の意味です。
↓
「品質管理担当者が不良品と判定した製品画像数(10件)に占める,機械学習モデルの判定が不良品(5件)と判定した製品画像数の割合」という意味です。
機械学習モデルがその他に15件を不良品と判定しているのでややこしく感じるかもしれません。
この15件の不良品を先ほどの文章に当てはめると次のようになります。
「品質管理担当者が良品と判定した製品画像数(90件)に占める,機械学習モデルの判定が不良品(15件)と判定した製品画像数の割合」
この様な意味になるので、機械学習モデルが不良品と判定した15件については無視してください。
ITパスポート令和5年度過去問の問77の解き方
標準偏差と偏差値に関する問題の解き方
受験者10,000人の4教科の試験結果は表のとおりであり,いずれの教科の得点分布も正規分布に従っていたとする。ある受験者の4教科の得点が全て71点であったときこの受験者が最も高い偏差値を得た教科はどれか。

ウ
出典:令和5年度 ITパスポート試験 問77
標準偏差は、平均点に足したり、引いたりして使うものです。
国語の場合平均点が62点なので、標準偏差の5を足した場合と、引いた場合を出します。
・足した場合:67点
・引いた場合:57点
標準偏差を1回足した値と、1回引いた値の範囲に含まれる人は約68%います。
つまり標準偏差とは、ある値(平均点)に標準偏差を足した値と、引いた値の範囲に含まれる人等の割合を示すものです。
標準偏差を2回足した値と、2回引いた値の範囲に含まれる人は約95%います。
実際に2回足した値を出します。
・国語:72
・社会:73
・数学:70
・理科:74
これらの点数以下の人がほとんどということになるので、これらの値より点数が高い場合偏差値が高くなります。
平均点の71点が標準偏差を足した値より何点高いかを出します。その点がより高い教科が1番偏差値の高い教科になります。
・国語:-1
・社会:-2
・数学:1
・理科:-3
数学が1番偏差値が高いことが分かります。
答えはウです。


