この記事は応用情報技術者が監修しています。
ITパスポート試験とは?という基本的なことから、合格基準、合格に必要な勉強時間、就職への影響、おすすめの教科書などを解説していきます。
国家資格ITパスポート試験とは(Iパス)
簡単に言うと、ITパスポート試験とは、経済産業省が所管するIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する、IT分野の13個ある国家資格の内、最も入門的位置づけの資格になります。
IDパスポートではなく、ITパスポートですのでご注意ください。
IT分野の国家資格は、レベル1~レベル4に分かれており、ITパスポートはレベル1の試験になります。
レベル1の定義は以下の通りです。
情報技術に携わる者に必要な最低限の基礎的知識を有し,要求された作業につい
引用:独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱 レベル対応における,各レベルの定義
て,指導を受けて遂行できる。
ITパスポート試験の費用は7500円(税込)で毎月試験が実施されるため、毎月受験が可能です。
ITパスポート試験の試験概要(構成・問題数・合格基準)
この試験の問題は3つの分野から構成されています。
システム開発は、上流工程と下流工程があり、上流工程とは簡単にいうとシステムの企画や設計などが該当します。
ITパスポート試験のおもしろいところは、経営学関連の知識が問われる点です。経営学とITの2つの知識を習得することができます。
ITパスポート試験に合格すれば、ビジネスパーソンとして現在のデジタル社会、IT社会で活躍するための基礎を身に着けることができます。
近年DXという言葉が盛んに使われている通り、社内のIT化が推進されており活発になってきています。社内のIT化には社員一人一人のITに関する理解が必要です。
ITパスポートの勉強は、ITを理解するための入門としても最適です。
詳しい試験内容は、シラバスを参照してください。
参考:独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱
ITパスポート試験受験者数と合格率
実は、ITパスポート試験ですが近年受験者数が激増しています。
参考:独立行政法人情報処理推進機構 令和4年度「iパス(ITパスポート試験)」の年間応募者数等について
受験者数は、この2年間で106,368人増加、72.4%増加しています。
かなり受験者数が増えていることが分かります。
実務で、ある企業がシステムを導入しようとしているところに携わったことがあるのですが、IT企業以外の企業だと、ITに関する知識を持っているが本当に少ないです。
特に年齢が高くなればなるほど、アルファベットが苦手なようで、例えばRFP(提案依頼書)という単語も苦手で、できるだけ日本語を使って欲しいと言われたことがあります。
社内のIT化には、役職の高い人も参加する必要があるため、年齢の高い人もITに関する知識を習得する必要があります。
そういう事情もあり、幹部クラスの人の受験も増えていると思われます。
合格率からすると、ITパスポート試験はIT初心者が大体2人に1人しか合格できない試験になっています。
ITパスポート試験に合格するために必要な目安勉強時間
本当に何も知識がない状態だと150時間程度と言われています。
しかし一律で誰もが150時間勉強しないといけないなんてことはありません。
ITパスポートは経営学関連の知識とIT関連の知識が問われるので、その人がこれまで何を学んできたかによって必要勉強時間が全然違います。
また、上記の目安勉強時間は、私が応用情報技術者の資格を持っているので、その経験からこの程度必要であると出しています。
また私自身、高校生の時にITパスポート試験の勉強をしたことがあるので、その経験も踏まえています。
仮に経営・経済・商学系学部大学生であれば、経営学関連(ストラテジ系)の問題は100問中35問出題されるので、さほど苦労することなく合格することが出来るでしょう。
社会人も会社に勤めていれば、ITパスポートの経営学関連(ストラテジ系)の知識は自ずと入ってくると思うので、さほど苦労することなく合格することが出来るでしょう。
IT系大学生であれば、IT関連の問題が100問中65問出題されるので、比較的簡単に合格することができるはずです。
高校生の場合は、少し難しいかもしれません。
高校生は、ITパスポートで問われる経営学関連(ストラテジ系)の知識はイメージが湧きづらいはずです。
少し大変ですが、勉強時間を多めに確保すると良いでしょう。
ITパスポート試験の難易度と偏差値
ITパスポート試験の統計情報「令和4年度 最終学歴別 一覧表」を参考にします。
情報系以外の文系の大学生の受験者数が72,967人と多く、情報系以外ということで合格率が参考になりそうです。合格率は58.7%です。上位58%というと大体偏差値48になります。
ITパスポート試験はすごく難しいとは言えないけど、簡単でもないという難易度と言えます。
他の試験で例えると、日商簿記3級より少し難しいかなという難易度です。
参考:ITパスポート試験 統計情報 令和4年度 最終学歴別 一覧表
ITパスポート試験と基本情報技術者試験の違い
ITパスポート試験と基本情報技術者試験の最大の違いは、基本情報技術者試験にはプログラミング技能が問われる点です。
ITパスポート試験と基本情報技術者試験の難易度の違い
基本情報技術者試験は、以前であればITパスポート試験に合格した人が150時間以上勉強して合格できるような資格でした。
しかし、近年試験の方式等が変更されたことで難易度が下がってきており、今では、ITパスポート試験に合格した人が50時間~100時間勉強すれば合格可能な試験になっています。
根拠は合格率が上がっていることです。
合格率がかなり上がっていることからも分かるように、難易度は確実に下がっていると言えます。
基本情報技術者試験の令和5年度4月~11月の合格率は49.4%となっています。令和元年度の合格率は25.7%でそれ以前の合格率も大体25%以下でした。
簡単に言うと、難易度が2分の1のなったイメージでしょうか。
ITパスポート試験よりは難しいけど、以前よりは差が縮まっています。
参考:独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表(平成21年度春期以降)
参考:独立行政法人情報推進機構 統計情報(基本情報技術者試験)統計資料
ITパスポートは就職で有利になるのか
結論から言うと、大学生がITパスポートの資格を持っていると、就職・就活時に評価され有利になるため、ITパスポート試験は価値のある資格と言えます。
大学生で次のような勘違いをされている方は多いと思います。
まず、大前提として資格が評価されないことはないです。資格を持っていない人と持っている人では、資格を持っている方が評価されます。
履歴書には、資格を書くようにしましょう。少しでもアピールした方が得です。
ITパスポート試験は経営学の知識が問われるので、その知識について企業としては、どの学部の学生にも知っておいて欲しいようなものです。
国家資格ITパスポートは取る意味ある?
これまでの解説からも分かるように、国家資格ITパスポートは取る意味が十分にあります。2人に1人しか合格できない試験ということからも、ちゃんと勉強をしないといけないことが分かります。
ITパスポート試験にチャレンジすれば、勉強習慣をつけることや勉強の仕方を学ぶことができますし、新しい知識を得ることができます。新しい知識からは新しい発想がなどが生まれます。
今後の社会人人生において大変意味のある資格です。
もし、自分が成長したいと思うのであればチャレンジすると良いでしょう。誰かに評価してもらえるか気にすることなどは二の次です。
自分の成長を一番に考えるのが良いと思います。
まとめ
いかがでしたか、ITパスポート試験について多くのことが分かったと思います。ITパスポート試験は大変良い試験だと思います。是非ちゃんレンジしてみてください。応援しています。