ITパスポートとは?取る意味ある?本当の勉強時間・就職就活有利?

机の上にパスポート、小さい飛行機のおもちゃ、帽子が置かれている

この記事は応用情報技術者が監修しています。

この記事で分かること
  1. 国家資格ITパスポート試験とは
  2. ITパスポート試験の試験概要(構成・問題数・合格基準)
  3. ITパスポート試験受験者数と合格率
  4. ITパスポート試験に合格するために必要な目安勉強時間
  5. ITパスポート試験の難易度と偏差値
  6. ITパスポート試験と基本情報技術者試験の違い
  7. ITパスポートは就職で有利になるのか

ITパスポート試験とは?という基本的なことから、合格基準、合格に必要な勉強時間、就職への影響、おすすめの教科書などを解説していきます。

国家資格ITパスポート試験とは(Iパス)

白色のはてなマークが描かれている
※上記の青い文字から読みたい項目へ移動することができます

簡単に言うと、ITパスポート試験とは、経済産業省が所管するIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する、IT分野の13個ある国家資格の内、最も入門的位置づけの資格になります。

IDパスポートではなく、ITパスポートですのでご注意ください。

IT分野の国家資格は、レベル1~レベル4に分かれており、ITパスポートはレベル1の試験になります。
レベル1の定義は以下の通りです。

情報技術に携わる者に必要な最低限の基礎的知識を有し,要求された作業につい
て,指導を受けて遂行できる。

引用:独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱 レベル対応における,各レベルの定義

ITパスポート試験の費用は7500円(税込)で毎月試験が実施されるため、毎月受験が可能です。

ITパスポート試験の試験概要(構成・問題数・合格基準)

この試験の問題は3つの分野から構成されています。

問題構成
  1. ストラテジ系(経営学関連)
  2. マネジメント系(システム開発の上流工程関連)
  3. テクノロジ系(IT基礎知識)
出題問題数
  1. ストラテジ系(35問程度)
  2. マネジメント系(20問程度)
  3. テクノロジ系(45問程度)

※総合評価は92問、分野別評価はストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問で行われます。
※8問は今後出題する問題を評価するために使われます。

システム開発は、上流工程と下流工程があり、上流工程とは簡単にいうとシステムの企画や設計などが該当します。

合格基準

総合評価点

  • 1000点満点中600点以上

分野別評価点

  • ストラテジ系 1000点満点中300点以上
  • マネジメント系 1000点満点中300点以上
  • テクノロジ系 1000点満点中300点以上

※分野ごとに最大1000点で評価されます。
※総合評価点が700点の場合でも、分野別評価点のいずれかが300点未満の場合不合格となります。

ITパスポート試験のおもしろいところは、経営学関連の知識が問われる点です。経営学とITの2つの知識を習得することができます。

ITパスポート試験に合格すれば、ビジネスパーソンとして現在のデジタル社会、IT社会で活躍するための基礎を身に着けることができます

近年DXという言葉が盛んに使われている通り、社内のIT化が推進されており活発になってきています。社内のIT化には社員一人一人のITに関する理解が必要です。

ITパスポートの勉強は、ITを理解するための入門としても最適です。

詳しい試験内容は、シラバスを参照してください。

試験要綱・シラバスについて | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理推進機構(IPA)の「試験要綱・シラバスについて」に関する情報です。
試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理推進機構(IPA)の「試験区分一覧」に関する情報です。

参考:独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱

ITパスポート試験受験者数と合格率

机の上にパソコン、ノート、分析データの紙がある
令和4年度
  • 応募者数:253,159人
  • 受験者数:231,526人
  • 合格者数:119,495人
  • 合格率:51.6%

実は、ITパスポート試験ですが近年受験者数が激増しています。

令和2年
  • 応募者数:146,791人
  • 受験者数:131,788人
  • 合格者数:77,512人
  • 合格率:58.8%

参考:独立行政法人情報処理推進機構 令和4年度「iパス(ITパスポート試験)」の年間応募者数等について

受験者数は、この2年間で106,368人増加、72.4%増加しています。

かなり受験者数が増えていることが分かります。

実務で、ある企業がシステムを導入しようとしているところに携わったことがあるのですが、IT企業以外の企業だと、ITに関する知識を持っているが本当に少ないです。

特に年齢が高くなればなるほど、アルファベットが苦手なようで、例えばRFP(提案依頼書)という単語も苦手で、できるだけ日本語を使って欲しいと言われたことがあります。

社内のIT化には、役職の高い人も参加する必要があるため、年齢の高い人もITに関する知識を習得する必要があります。

そういう事情もあり、幹部クラスの人の受験も増えていると思われます。

合格率からすると、ITパスポート試験はIT初心者が大体2人に1人しか合格できない試験になっています。

ITパスポート試験に合格するために必要な目安勉強時間

目安勉強時間
  • 勉強に慣れていない高校生:150時間
  • 勉強に慣れている高校生:130時間
  • 経営・経済・商学系学部大学生:80時間
  • IT系大学生:60時間
  • その他学部大学生:100時間
  • 社会人3年目(高卒):100時間
  • 社会人3年目(大卒):60時間

本当に何も知識がない状態だと150時間程度と言われています

しかし一律で誰もが150時間勉強しないといけないなんてことはありません。

ITパスポートは経営学関連の知識とIT関連の知識が問われるので、その人がこれまで何を学んできたかによって必要勉強時間が全然違います

また、上記の目安勉強時間は、私が応用情報技術者の資格を持っているので、その経験からこの程度必要であると出しています。

また私自身、高校生の時にITパスポート試験の勉強をしたことがあるので、その経験も踏まえています。

仮に経営・経済・商学系学部大学生であれば、経営学関連(ストラテジ系)の問題は100問中35問出題されるので、さほど苦労することなく合格することが出来るでしょう。

社会人も会社に勤めていれば、ITパスポートの経営学関連(ストラテジ系)の知識は自ずと入ってくると思うので、さほど苦労することなく合格することが出来るでしょう。

IT系大学生であれば、IT関連の問題が100問中65問出題されるので、比較的簡単に合格することができるはずです。

高校生の場合は、少し難しいかもしれません。

高校生は、ITパスポートで問われる経営学関連(ストラテジ系)の知識はイメージが湧きづらいはずです。

少し大変ですが、勉強時間を多めに確保すると良いでしょう。

ITパスポート試験の難易度と偏差値

ITパスポート試験の統計情報「令和4年度 最終学歴別 一覧表」を参考にします。

情報系以外の文系の大学生の受験者数が72,967人と多く、情報系以外ということで合格率が参考になりそうです。合格率は58.7%です。上位58%というと大体偏差値48になります。

ITパスポート試験はすごく難しいとは言えないけど、簡単でもないという難易度と言えます。

他の試験で例えると、日商簿記3級より少し難しいかなという難易度です。



参考:ITパスポート試験 統計情報 令和4年度 最終学歴別 一覧表

ITパスポート試験と基本情報技術者試験の違い

ITパスポート試験と基本情報技術者試験の最大の違いは、基本情報技術者試験にはプログラミング技能が問われる点です。

ITパスポート試験と基本情報技術者試験の難易度の違い

基本情報技術者試験は、以前であればITパスポート試験に合格した人が150時間以上勉強して合格できるような資格でした。

しかし、近年試験の方式等が変更されたことで難易度が下がってきており、今では、ITパスポート試験に合格した人が50時間~100時間勉強すれば合格可能な試験になっています。

根拠は合格率が上がっていることです。
合格率がかなり上がっていることからも分かるように、難易度は確実に下がっていると言えます。

基本情報技術者試験の令和5年度4月~11月の合格率は49.4%となっています。令和元年度の合格率は25.7%でそれ以前の合格率も大体25%以下でした。

簡単に言うと、難易度が2分の1のなったイメージでしょうか。

ITパスポート試験よりは難しいけど、以前よりは差が縮まっています。

参考:独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験  推移表(平成21年度春期以降)
参考:独立行政法人情報推進機構 統計情報(基本情報技術者試験)統計資料

ITパスポートは就職で有利になるのか

2人の人が握手をしている

結論から言うと、大学生がITパスポートの資格を持っていると、就職・就活時に評価され有利になるため、ITパスポート試験は価値のある資格と言えます。

大学生で次のような勘違いをされている方は多いと思います。

大学生の就活時の勘違い
  • 比較的簡単な資格は評価されない
  • 比較的簡単な資格を履歴書に書くと恥ずかしい
  • 比較的簡単な資格を取得する必要はない

まず、大前提として資格が評価されないことはないです。資格を持っていない人と持っている人では、資格を持っている方が評価されます。

履歴書には、資格を書くようにしましょう。少しでもアピールした方が得です。

ITパスポート試験は経営学の知識が問われるので、その知識について企業としては、どの学部の学生にも知っておいて欲しいようなものです。

国家資格ITパスポートは取る意味ある?

これまでの解説からも分かるように、国家資格ITパスポートは取る意味が十分にあります。2人に1人しか合格できない試験ということからも、ちゃんと勉強をしないといけないことが分かります。

ITパスポート試験にチャレンジすれば、勉強習慣をつけることや勉強の仕方を学ぶことができますし、新しい知識を得ることができます。新しい知識からは新しい発想がなどが生まれます

今後の社会人人生において大変意味のある資格です。

もし、自分が成長したいと思うのであればチャレンジすると良いでしょう。誰かに評価してもらえるか気にすることなどは二の次です。

自分の成長を一番に考えるのが良いと思います。

まとめ

いかがでしたか、ITパスポート試験について多くのことが分かったと思います。ITパスポート試験は大変良い試験だと思います。是非ちゃんレンジしてみてください。応援しています。

この記事を書いた人
トッシー

エンジニア/プログラマー。未経験からIT企業に転職し超上流から下流までを経験。プログラミングを学習したい人のための情報発信、その他学習関連の情報発信を通じて、一人一人のスキル向上と自己実現に貢献します。保有資格「応用情報技術者」など

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