そもそもITリテラシーとは何なのだろうか、どうやって高められるのだろうか、低いと何か問題があるのかなど疑問に思っている人もいるはずです。
ITリテラシーは、デジタルの時代において、ますます不可欠なスキルとなっており、個人だけでなく、ビジネスや教育の分野でも求められているものです。
ITリテラシーを高めることで生活や仕事がより円滑になります。
この記事ではそんなITリテラシーの定義やリスクを解説し、最後はITリテラシーの基礎学習が行えるようになっています。
ITリテラシーの3要素とは
ITリテラシーを高める、向上させるためには、そもそもITリテラシーが何かを知る必要があります。
まずはITリテラシーの構成要素について確認していきます。
※その他のリテラシーとして、デジタルリテラシーというものもあります
情報基礎リテラシーとは
総務省が発行する「平成12年版 通信白書」に次のような、調査結果が載っています。
ITリテラシーの3要素とは、総務省が発行する「平成12年版 通信白書」の「個人の情報リテラシーに関する調査」の内容が由来となっています。
日本においてITリテラシーと情報リテラシーはほぼ同じ意味で使われています。
なぜITリテラシーと情報リテラシーが同じような意味で使われているのかというと、日本ではそれぞれの定義がこれまで曖昧だったからです。
出典:総務省 平成12年版 通信白書 注記 注9 「個人の情報リテラシーに関する調査」について
情報基礎リテラシーの設問に、ATMや暗証番号についてのものがあります。
ATMについては、ATMの操作方法は基礎的な知識として知っておいて欲しかったことが窺えます。また暗証番号については基礎的なセキュリティに関する知識について問われています。
このように、身近に存在していて生活に関わる製品やサービスを利用できる能力、セキュリティに関する基礎能力など、幅広い能力が該当します。
コンピュータリテラシー(パソコンリテラシー)とは
コンピュータリテラシーとは、元々はパソコンリテラシーと言われていました。
しかし、現代ではパソコンの他にスマートフォンやタブレットなど様々な製品が普及したことで、コンピュータリテラシーと呼ばれるようになりました。
情報基礎リテラシーは、ITリテラシーの根底にあるものであり、ATMの操作や番組の予約方法は簡単な部類に入ります。
パソコンやスマートフォンの操作はそれらよりも高度の知識が必要であり、情報基礎リテラシーよりも上位のリテラシーに該当します。
ネットワークリテラシーとは
ネットワークリテラシーはインターネットなどのネットワークを介したサービスなどを利用できる能力のことです。
例えば、ネット検索、メールの送受信、オンラインショップの利用、LINEやZoomの利用、予約サービスの利用などのことを指します。
ITリテラシーの3要素本当に正しいのか?
ここではITリテラシーを高める方法を実践してもらいます。
ITリテラシーについて調べてみると、この3要素「情報基礎リテラシー」、「コンピュータリテラシー」、「ネットワークリテラシー」がITリテラシーを構成していると解説するものが多いと思います。
この3要素は正しいと思いますか?
みんな同じ事言ってるから正しいはずだ!(^o^)/
という考えは危険です。
この考えは、正しい情報かどうかを自分で判断することが出来ません。情報を鵜呑みにせず、自分で考える癖をつけるようにしましょう。
このページのタイトルが、「ITリテラシーを高める方法」とあるように、「ITリテラシーを高める方法」をここで実践してみましょう。
まず、これまでの記事の内容で疑問に思って欲しいこと、違和感を覚えて欲しい箇所があります。
少し記事を読み返して考えてみて下さい。疑問に思って欲しい言葉を答えとして書いています。
いやいや、平成12年の情報って古くね?何年前の情報だよ。2000年って20年以上前の情報やないかい。SMAPの「世界に一つだけの花」より古いし、芦田愛菜ちゃん生まれてもないやん….。
という、感じに考えて欲しいのです。
20年以上の情報は古すぎますよね。
かなり違和感があります。
多くの人がITリテラシーを構成する3要素として「情報基礎リテラシー」、「コンピュータリテラシー」、「ネットワークリテラシー」を上げる根拠は、平成10年の通信白書にもあります。
平成10年の通信白書にもこの3要素が出てきます。平成10年の通信白書でも、情報リテラシーという言葉が使われており、次のように述べられています。
本白書においては、「デジタルネットワーク社会」に適応するために必要な能力という観点から、情報リテラシーを広義の意味において使用することとする。
出典:総務省 平成10年版 通信白書 第1章 第3節 (1) イ 「通信白書」における情報リテラシー
さらに、情報リテラシーについて、その使用できる機器のレベルに応じて、 [1] 情報基礎リテラシー、 [2] PCリテラシー(PC活用能力)、 [3] ネットワークリテラシー(ネットワーク活用能力)の3層としてとらえることとする(第1-3-1図参照)。
間違いではないのですが、情報が古いため正しい情報かの確認が必要です。
その情報とはいつの情報か?古い情報の場合、最新の情報はどうなっているのか?ということを考え、情報の鮮度を意識することで、最新の正しい情報を入手することができます。
正しい情報かを判断し、正しい情報を入手する力もITリテラシーの1つです。
【最新定義】ITリテラシーとは?
国の機関である、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)がITリテラシースタンダートというものを定めており、ITリテラシーを定義しています。
社会におけるIT分野での事象や情報等を正しく理解し、関係者とコミュニケートして、業務等を効率的・効果的に利用・推進できるための知識、技能、活用力
出典:独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター 人材プラットフォーム部 ITリテラシースタンダード IT Literacy Standard(ITLS)<初版>「ITLSの概要」P2
これが最新のITリテラシーの定義になります。
ITリテラシーの要素は4つの大項目で大別されています。
- ITの動向
- ビジネスの改善・刷新
- リスク対応
- ITへの投資
以下は、ITLSフレームワーク(初版)という、ITリテラシーの要素が書かれた表です。
一見、先ほど紹介した3要素「情報基礎リテラシー」、「コンピュータリテラシー」、「ネットワークリテラシー」とは全然違うように見えますが、中項目と照らし合わせると、3要素を全て当てはめることができます。
まずは最新の要素を確認してみましょう。
出典:独立行政法人情報処理推進機構 ITLSフレームワーク(初版)
包括的にITリテラシーの要素がまとめられていることがわかります。
ITリテラシーは、ITに関する幅広い知識や能力を指しています。
これらの要素を意識して学習をしていくとITリテラシーを高めることができます。ITリテラシーを高める際の参考にすると良いでしょう。
ITリテラシーが低い場合のリスクと対策
ランサムウェアに感染する可能性が高まる
ITリテラシーが低い人の場合、ランサムウェアという単語も知らないかもしれません。
ランサムウェアとは、被害者に身代金の支払いを要求する悪意のあるソフトウェアの一種です。
多くはメールに添付されているファイルから感染します。
ランサムウェアに感染すると、パソコンがロックされ、ネットワークを通じて重要なファイル、例えば個人情報が保存されているファイルなどを暗号化します。
ファイルの暗号化の解除と引き換えに金銭を要求してきます。
実は日本でもかなりの被害が出ています。このようなリスクを回避するためにもITリテラシーを高める必要があります。
ITリテラシーが低い場合のリスクへの対策
- 信頼性の高い情報源を確認する
- 最新の情報の入手する
- 複数の情報源を確認する
- 疑う気持ちを持つ
当然信頼性の高い情報源でないと安心できません。今回この記事は、以下の信頼性の高い機関の情報を参考にしています。
- IPA(独立行政法人情報処理推進機構)
- 総務省 情報通信白書
どちらも国の機関です。ここから情報を入手するということを意識すると正しい情報がインプットできる可能性が高まります。
最新の情報を入手することも大切です。古い情報の場合、その情報をもとに行動をした場合不利益を被る可能性があります。
また1人の医者だけではなく、2人に診てもらうことをセカンドオピニオンと言いますが、それと同じで信用性を高めるためには複数の情報源を確認する必要があります。
そして疑う気持ちを持つことも大事になります。情報を鵜呑みにするのではなく、この情報は本当に正しいのかを自分で考える必要があります。
ITリテラシーの基礎学習
これまで、ITリテラシーの概要について解説してきました。ITリテラシーに全体像が掴めたと思います。ここからは、ITリテラシーの基礎学習項目についてさらっと確認していきましょう。
どのようなことを覚えたらいいのかを書いていきます。
パソコンの基本操作
ITリテラシーは、コンピュータやソフトウェアの基本的な操作や理解から始まります。キーボードやマウスの使い方、ファイルの管理、基本的なソフトウェアの操作などが含まれます。
- 電源の操作
- パソコンの電源の入れ方と切り方を理解しましょう。電源をシャットダウンするショートカットは次の通りです。「 + X」 → U → U
- デスクトップの基本的な要素
- デスクトップ上にはアイコンやタスクバーがあります。これらがどんな役割を果たしているか理解しましょう。
- ファイルやフォルダの操作
- ファイルやフォルダの作成、移動、削除、名前の変更など基本的なファイル操作を覚えましょう。
- マウスの使い方
- マウスを正確に使えるようになることは重要です。クリック、ダブルクリック、右クリック、スクロールなどの基本的なマウスの機能をマスターしましょう。
- キーボードの基本操作
- キーボードを使ってテキストを入力する方法や、ショートカットキー(Ctrl+CやCtrl+Vなど、これはコピペ)の使い方を覚えましょう。
- ウィンドウの操作
- アプリケーションやウィンドウの開き方、最小化・最大化・閉じる方法を理解し、複数のアプリケーションを同時に扱う方法を覚えましょう。
- コピー・ペーストの使い方
- テキストやファイルなどをコピーして別の場所に貼り付ける方法を覚えましょう。これは作業効率を向上させるために非常に重要です。
- 基本的な設定の変更
- パソコンの基本的な設定、たとえばディスプレイの解像度やサウンドの調整などを行う方法を学びましょう。
パソコンの基本操作というのは、コンピュータリテラシーを高めることに繋がります。
コンピュータリテラシーにはプログラミングも含まれます。さらに学習をしたいと意欲のある方は以下の学習コンテンツを参考にすると良いでしょう。
デジタルコミュニケーション
デジタル時代では、メール、チャット、ソーシャルメディアなどを通じたデジタルコミュニケーションが一般的です。適切なネットワークエチケットやセキュリティの意識が必要です。
- 適切なプラットフォームの選択
- コミュニケーションの目的に合ったプラットフォームの選択が重要です。ビジネスではメールやビデオ会議が一般的であり、友人との交流にはソーシャルメディアが利用されます。
- ネットワークエチケット
- オンラインでの対話では、ネットワークエチケットを守ることが求められます。適切な挨拶や礼儀正しい態度、適度なメッセージの長さなどが重要です。誹謗中傷はやめましょう。
- クリアな表現
- 文字だけで伝えるため、クリアで明確な表現が必要です。誤解を避け、相手に正確にメッセージが伝わるように工夫しましょう。正しい単語の意味を学ぶことも有効です。間違えた意味で単語を覚えていると相手に対して失礼になることもあります。
- 効果的なリモートミーティング
- ビジネス環境ではリモートミーティングが増えています。ミーティングの進行や発言のタイミング、ビジュアルや音声のクオリティに気を付け、効果的なコミュニケーションを確立しましょう。また、リモートミーティングの準備はミーティング開始前に時間に余裕を持って行いましょう。通信を行う関係上不具合が発生する場合があります、常に不測の事態に備えましょう。
- プライバシーとセキュリティの意識
- デジタルコミュニケーションではプライバシーとセキュリティに気を付ける必要があります。機密情報や個人情報の取り扱いには慎重さが求められます。個人情報の取り扱いに関する最大の対策は、そもそも個人情報を受け取らないことです。個人情報がどうしても必要な場合以外は、受け取らないようにしましょう。
インターネットから入手した情報の評価と管理
デジタル時代において、膨大な情報にアクセスできる一方で、その中から信頼性の高い情報を見極め、効果的に管理するスキルが求められています。情報の評価と管理に焦点を当て、デジタル時代の情報スキル向上に役立つポイントを紹介します。
- 信頼性のある情報源の選定
- インターネット上には様々な情報が存在しますが、信頼性のある情報源を選ぶことが重要です。信頼性の指標や専門家の見解を確認し、正確な情報を入手しましょう。
- 情報のクリティカル・リーディング
- 情報を受け入れるだけでなく、批判的に読むことも必要です。文脈や筆者の意図を理解し、情報の隠れた意味を見抜く能力を養いましょう。
- 検索エンジンの効果的な利用
- 検索エンジンを効果的に活用することで、必要な情報を迅速に見つけることができます。chromeなどのブラウザには豊富な検索コマンドがあります。検索する際の工夫やフィルタリングのテクニックを身につけましょう。
- 情報の整理と分類
- 大量の情報の中から重要な情報を見つけるためには、情報を整理し分類するスキルが必要です。ブックマークなどを活用して情報を管理し、効率的にアクセスできるようにしましょう。
- データのバイアスを認識
- 情報やデータにはバイアスが含まれることがあります。情報の提供者やデータの収集方法を考慮し、客観的な評価を行いましょう。
- 情報の加工と共有
- 入手した情報をそのまま利用するのではなく、分かりやすく加工することで、より有効活用することが可能です。ExcelやPowerPointなどのソフトの基本操作を理解し、良い資料を作成し、会社や学校などで共有しましょう。
情報セキュリティ意識
デジタル時代において、セキュリティ意識の向上は個人や組織にとって重要不可欠な要素となっています。ネットワーク上での脅威から身を守り、セキュリティを強化するための対策に焦点を当てます。
- セキュリティの基本
- セキュリティ対策はパスワードの設定、画面ロック、ウィルスチェック、不審なメールを見ないなどがあります。その対策の重要性を認識しましょう。また、不正アクセスや情報漏洩などのサイバー犯罪は人的ミスから発生することもあります。ゴミ箱は情報の宝箱です。重要資料は必ずシュレッダーにかけましょう。
- ソーシャルエンジニアリングへの対策
- フィッシングやスパムメールなど、ソーシャルエンジニアリングによる攻撃が増加しています。不審なメールやリンクに注意しましょう。もし、ウイルスに感染してしまった場合は、まずインターネットとの接続を遮断してください。インターネットと接続していると、情報が抜き取られるだけでなく、他のコンピュータにもウイルスが感染してしまいます。
- マルウェアとの戦い
- インターネット上では様々なマルウェアが潜んでいます。信頼できないサイトの回避、アンチウイルスソフトの利用、定期的なシステムスキャンなどでマルウェアから身を守りましょう。
- アップデートとパッチの重要性
- オペレーティングシステムやアプリケーションのアップデートはセキュリティを向上させます。最新のパッチやセキュリティアップデートを適用し、潜在的な脆弱性から身を守りましょう。ソフトウェアやアプリは頻繁にアップデートが行われています。実はセキュリティ対策と言う面もあるため速やかにアップデートしましょう。
- セキュリティ意識の浸透
- 組織内でのセキュリティ意識の浸透は重要です。従業員に対して定期的なトレーニングや教育を行い、セキュリティに対する理解を深めましょう。ウイルスに感染してしまう会社と言うのは社内教育を行っていないことが多いです。
- 二要素認証の採用
- パスワードだけでなく、二要素認証を採用することでセキュリティを向上させます。アカウントへの不正アクセスを防ぎましょう。
- データの暗号化
- 重要なデータは暗号化することで、万が一情報が漏洩した場合でも保護されます。データの暗号化を積極的に採用しましょう。
- モバイルデバイスのセキュリティ
- スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスもセキュリティの対象です。適切なセキュリティアプリを導入し、データの遠隔消去や盗難時の対策を行いましょう。
デジタルツールの活用
デジタル時代において、数多くのデジタルツールが利用可能です。仕事や日常生活でデジタルツールを活用して効率を向上させるためのアプローチを紹介します。
- プロジェクト管理ツールの活用
- プロジェクト管理ツールを使ってタスクの進捗管理や課題の把握をスムーズに行いましょう。期限や担当者の明確化により効率が向上します。
- クラウドストレージの恩恵
- クラウドストレージ(例: Google Drive、Dropbox)を活用してファイルをクラウド上で管理することで、データの共有やアクセスが容易になります。また、データの安全性も向上します。
- カレンダーアプリケーションの効果的な利用
- カレンダーアプリケーション(例: Google カレンダー、Microsoft Outlook)を活用して予定管理を行い、ミーティングや重要なイベントを見逃さないようにしましょう。会社でカレンダーを共有していないと、誰が今何をやっているのかが分かりません。特に役職が高い人ほど自分のスケジュールを共有すると良いです。
- ビデオコミュニケーションツールの有効利用
- ビデオコミュニケーションツール(例: Zoom、Microsoft Teams)を使ってリモートワークやオンラインミーティングを行うことで、効果的なコミュニケーションとることができます。
ITリテラシーと教育・キャリアについて
ITリテラシーは教育やキャリアにおいても不可欠です。現代の多くの職業ではコンピュータスキルが求められ、学習や仕事の効率を向上させます。
- デジタルスキルの重要性
- デジタルスキルはますます重要になっています。プログラミング、データ解析、デジタルマーケティングなどのスキルを身につけることが、多岐にわたる職業で求められます。
- オンライン教育の普及
- オンライン教育はますます一般的になり、世界のどこにいても学習が可能になっています。柔軟性とアクセス可能性の向上が、学び手にとって大きなメリットです。
- 自己学習
- デジタル時代では自己学習が強調されています。オンラインリソースやモバイルアプリを利用して、個々のペースで学ぶ能力が重視されています。
- リモートワークと柔軟な働き方
- リモートワークの増加により、地理的な制約が減少しました。これにより、異なる場所に住む人達との協力がより容易になり、キャリアの選択肢が広がっています。
- 産業革命 4.0 と新たな職業
- 人工知能、ロボティクス、IoTなどのテクノロジーの進化に伴い、新たな職業が生まれています。これらの分野のスキルを持つことで、将来のキャリアの可能性が広がります。
さいごに
この内容が、ITリテラシーを高める足掛かりになれば幸いです。他にもITリテラシーを高めるための記事やプログラミング学習コンテンツも用意しているため是非ご利用ください。